親知らずとは
親知らずとは、永久歯(大人の歯)の中で最も後ろに位置する歯で一番最後に発育します。
永久歯(大人の歯)は通常15歳前後で生え揃いますが、親知らずは生える時期が10代後半から20代前半であり親に知られることなく生えてくる歯であることが名前の由来と言われています。
親知らずは一般的には、上の顎の左右2本と下の顎の左右2本の合計4本ありますが、もともと親知らずの無い人や必ずしも4本揃っていない人など個人差があります。
当院では三次元撮影を可能にするCT装置[三次元立体画像撮影装置]を利用し安全・確実な親知らずの抜歯を行っています。
CT[三次元立体画像撮影装置]による事前の診査診断
どの医院にもデジタル二次元レントゲンはあります。
二次元でも一定のレベルで診査診断は可能なのですが、鮮明に撮影できない部位もあります。
例えば下の顎の骨の中には太い神経と血管が走っています。
親知らずはこの近くにあることが多いため抜歯の時にどうしても神経に影響を与えるリスクが高くなります。
神経等を傷つけてしまうとしびれや麻痺が生じることや多量の出血が起こることもあります。
この事を避けるために当院では、従来の二次元レントゲン診査だけではなく正確な診査を可能にするCT[三次元立体画像撮影装置]を利用することで三次元での撮影を行います(デジタル二次元レントゲン撮影で安全が確認できた場合CT診査をしないこともあります)。
親知らずの位置を正しく確認し抜歯することで患者様の肉体的・精神的負担を軽減することができます。
親知らずが引き起こすトラブル
一番最後に生えてくる親知らずは、生える場所があまり残されていないため埋まったまま生えてこなかったり(埋伏歯)、横や斜めに生えてきたり(位置異常)することが多く完全な形で生えてくる人は稀です。
位置異常で不完全に生えた状態のままになったりすると、歯磨きをしても手入れがしにくく汚れがたまりやすくそのため虫歯になったり痛んだり腫れたりすることが多いのです。
奥歯が腫れて口が開きづらいという主訴で来院しました。
横になった親知らずです。大切な第二大臼歯が虫歯になっています。
抜いた方がよい親知らず
- 智歯(親知らず)周囲炎
歯ブラシが届きにくいことから不潔になりやすく、親知らず周囲の歯肉に炎症を起こします。
20歳前後の人に発生する頻度の高い慢性疾患で、体調が悪くなると腫れたり痛んだりします。
智歯周囲炎が周囲の軟組織や顎骨に広がると、顔が腫れたり口が開きにくくなったりすることがあります。 - 親知らずが少しだけ見えていてこれ以上生える見込みがない
親知らずがしっかり生え切らない場合は歯磨きが充分にできず虫歯や歯周病になることがあり、口臭の原因にもなります。 - 歯並びに影響する場合
親知らずが手前の歯を強く押していると、歯並びが悪くなる原因となります。また手前の歯根が親知らずに押されると押された歯根が溶けてしまうこともあります。 - 手前の歯が虫歯になる
親知らずが虫歯になると、その手前の歯も虫歯になる可能性があります。 - 親知らずが歯茎や頬の粘膜を傷付けている場合
上の顎と下の顎の嚙み合わせる歯がどちらかだけ無い場合は歯が伸びてきて、向かいの歯茎や頬の粘膜を噛むようになり痛みを引き起こします。 - 顎関節症の原因になる場合
上の顎と下の顎の嚙み合わせる歯がどちらかだけ無い場合は歯が伸びてきて、顎の運動を邪魔して顎関節が痛くなることがあります。また親知らずの位置異常によって歯並びや噛み合わせが悪くなると顎関節に負担がかかり、顎が痛い・口が開けにくい等の症状がでる場合もあります。
抜かなくてもよい親知らず
抜かなくてもよいと診断したものは抜歯致しません。
- まっすぐ生えており上下の歯で噛み合っている場合
虫歯や歯周病もなく上下の親知らずが噛み合っている場合は抜く必要はありません。 - 顎の骨の中に完全に埋まっていて問題が無い場合
周りの歯や骨に悪い影響を与えることはないと考えられ、痛みや腫れ等の症状がない場合。 - 義歯(入れ歯)やブリッジ治療の土台として親知らずが必要な場合
ある程度まっすぐ生えている親知らずは、前方にある臼歯をなくした場合でも削ってブリッジの土台にしたり、義歯(入れ歯)のバネを架けることができるため、残しておいた方がよい場合があります。
抜歯の流れ
※体調を整えて来院して下さい。
- 診査診断 (レントゲン撮影・CT撮影)
- 表面麻酔(塗布)
- 浸潤麻酔(注射)又は 伝達麻酔(注射)
- 周辺組織の除去
- 抜歯
- 止血処置(必要に応じて縫合)
- 後日 抜糸・消毒
親知らず抜歯後の注意事項
抜歯後当日は血の巡りの良くなるような行為は控えるようにして下さい。
痛みが強く出たり、出血しやすくなります。
・お酒・運動・湯船に浸かるなど。
血の巡りを悪くし傷の治りを遅くします。
・タバコ
抜歯後に起こりうる症状
ドライソケット
本来は抜歯後の穴には血液が溜まり、それが固まって血餅(血の塊)になった後、歯茎となって穴が塞がり治っていきます。ドライソケットとは、抜歯後の穴に血の塊ができずにポッカリ穴が空いて骨がむき出しになっている状態のことを言い、「抜歯窩治癒不全」とも呼ばれています。
ドライソケットの多くは下の親知らず抜歯後に見られ、2~4%くらいに現れるというデータがあります。
ドライソケットになると耐え難い痛みが10日~2週間、ひどい場合だと1ヵ月も続いてしまうことがあります。
- 抜歯後2~3日経ってから痛みが増してきた
- 痛みの程度がひどく長引いている
- 飲食時に痛みがひどくなる
- 悪臭がする
- 穴がポッカリと空いて白っぽい
原因
血の塊を流してしまった
血の塊を流してしまうような行為「うがいのし過ぎ」「舌でいじった」などが原因でせっかく溜まった血の塊が剝がれてしまうことがあります。
血の塊ができなかった
血が固まる前に血行が良くなりすぎることをしてしまった場合(飲酒・激しい運動・お風呂に浸かるなど)血の塊ができないことがあります。
血があまり出なかった
麻酔に含まれる血管収縮薬の影響で、正常に出血が起こらない場合があります。
喫煙をした
抜歯後の喫煙は血流が悪くなってしまうことで治りが悪くなったり、ドライソケットを起こしやすくなったりします。
感染を起こした
抜いた部分が感染を起こすと、血の塊が炎症で溶けてなくなってしまうことがあります。
治療
投薬による治療
強い痛みに対しては鎮痛剤、感染予防には抗生物質が投与されます。
抜歯窩に軟膏付きガーゼを埋入[タンポナーゼ]する
抜歯窩を洗浄・消毒し軟膏付きのガーゼで露出した骨の表面を覆い保護します。当院では主にこの治療になります。
抜歯窩を再掻爬
麻酔をして内部を引っ搔き、出血させて血の塊を作る方法です。
なお他院での抜歯後ドライソケットでお悩みの方も遠慮なくご相談下さい。
抜歯後の感染
抜歯後の傷口は糸などを使って縫合することはできますが、食べかすなどから口の中の細菌にさらされることになります。処方されたお薬を飲み続けても腫れや痛みがおさまらない場合には、感染症を起こしている可能性があります。
治療
痛み止めと同時に抗生物質・消炎剤を処方いたしますので、指示に従い。
服用して下さい患者様ご自身での対処はできませんので、必ずご相談下さい。
[妊娠前の女性]に親知らずの検診をお勧めします
妊娠するとホルモンバランスの影響で親知らずが痛むケースがありますが、お腹の中には赤ちゃんがいるためレントゲン撮影や痛み止め、抗生物質は避けたいところです。出産するまで痛みに耐えなければならないのですが、事前に検診・処置を行うことで痛みを我慢することもなく不安要素が少なくなります。
048-466-6555